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F.M.アレクサンダーの発見 その3

アレクサンダーが試みた“しようとしない”ための手順
次のようなことを教えてくれました。

1. 自分の目的(声をつかうことや朗唱する)を
  達成するために使うことにした新しい手順の第一段階ですら
  “しよう”と試みる前に、
  その準備としての指令(=ディレクション)を何度も与えなければならない、
  ということ

2. 第二段階にすることに対して、
  準備するための指令を与えながらも、
  第一段階ですることに対して出していた
  準備するための指令を、
  同時に出し続けなければならない、ということ

3. 第三段階ですることに対して
  準備するための指令を与えながら
  第一・第二段階ですることに対して出していた
  準備するための指令を、
  同時に出し続けなければならない、
  ということ

そして第四段階以降の部分も同様に要求され続ける。


そしてF.M.アレクサンダーは、
最後に自分が発見したことは、
この一連の新しい『手順』のために
指令を与えるプロセスと

新しい使い方をもたらすために必要な
様々なメカニズムを使うことを組み合わせることに
充分になじんだ後、

“話す”という目的のために

この新しい『手順』を実際に使う前に
かなり時間をかけてこのプロセスを
繰り返す必要があることがわかりました。

アレクサンダーが、自身の体験からだけでなく、

教えた経験から分かったことは、
最初の1段階の指令を送ることができても、それを第2・第3と進む中で、
同時に送り続けるということは、誰にとっても難しいことであった、と。

アレクサンダーの結論は、
『もし私が“朗唱しよう”という刺激に対し
筋道のとおったやり方で反応することが可能なら、

古い反射的な方向性を、
新しく意識的で改良された方向性に
置き換えることができるに違いない』
というものでした。

そして、このアイディアを実行し始めたのですが、
再び、驚くような予期せぬ経験の数々に出合い、
行き詰ってしまいました。

ある使い方の方向性を
どのように改良すればよいかを
考え抜いて実行しさえすれば、
アレクサンダーは、
自分の立てた筋道のとおったやり方に導かれるはずであり、
実行に移す際の感覚には
左右されないと信じていました。

彼のマインド(思考・意志などの働き)の方が
感覚より優位であり、より効果的な方向性を
実行できると考えていた
のです。

しかし、実際に意識的な改良された方向性を
実行しようとするとすぐに
その考えは誤っていたと分かりました。

なぜなら、誤って方向付けられた使い方を、

習慣的であるがゆえに、アレクサンダーは
正しいと感じてしまっていたからです。

ふたたび、”unfamiliar(慣れない)”感覚によって

何よりF.M.アレクサンダーをうろたえさせたのは、
『成功する回数よりも失敗する回数の方が多いことだった』

なぜなら、
「話そう」とする刺激に対し、
習慣的な反応を抑制しようとしているのも確かで、
さらに、
新しい方向付けも十分に練習してきた。

だから、新しい「手段」を、ある程度の自信を持って、
使えるはずだ、と信じていたからだ・・・。

しかし、それでも失敗することの方が多かったのです。

ふたたび、自分の前提から見直していくと、
失敗したときは、習慣的な使い方に基づいたやり方が、
新しい「手段」よりも勝っていることが、
今まで以上にはっきりとわ
かる

個人的な力量によるものなのか、と自信を失いかけながらも、
他者ができることを自分もできないわけがない、と考えた。

「話す」という前段階では、
新しい「手順」をしっかりと行えていた。

そしていざ、「話そう」とした決定的な瞬間に、
古い習慣的な使い方に戻っているのが判明した

その理由は
新しい「手段」を正しく行えているかどうかを、
あてにならなくなっているはずの「感覚」に頼ってしまっていたからでした。

なじみのある感覚をいまだに「正しい」と感じていたのです。

習慣的ななじみのあるやり方を「正しい」と感じるならば、
新しい「手段」を”慣れない/なじみのない”経験として、
「間違っている」と感じてしまう、というわけです。

本能的な反応を抑制できているかどうかを、
「感覚/感じ方」で判断することはできない、
ということを肝に銘じ、
他に「知る方法」を探さなければならなくなりました。

この事実に直面したアレクサンダーは、こう考える。

新しい「手段」を採用する過程(プロセス)において、
第一段階から始まって、第二第三第四段階への
続けて出し続ける指示の過程で、

特に、自分の決めた目的を達成するために
「する」ことへ移っていく決定的な瞬間に、

「感覚/感じ方」に頼るのではなく、
自らが考え抜いた手順によって、
目的が達成される”新しい体験”をしなければならない。

たとえ、途中で「間違って感じられる」にしても、
続行する決心、手順に対する本当の信頼がなければならない、と。

自分の考え/新しい方向づけが、
目的に無事に導いてくれることを
「正しく感じる」ことを必要とせずに、
それを続ける決心と信頼が必要なのだ
、と。

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ここからさらに、F.M.アレクサンダーは試行錯誤を重ね、
習慣を出し抜くためのプランを導き出します

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